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遊気舎デヴィッド・ルヴォー惑星ピスタチオ|| 事業趣旨
1995年シンポジウム1996年ワークショップ舞台芸術総合センター(仮称)計画


演劇ワークショップ

演出家・俳優 野田秀樹

[ワークショップの内容]


ゲーム

 講師の合図で、講師も含めた全員が一斉に遊ぶ。簡単なルールが説明されたあと、すぐに始められるため、理解してからゲームにかかるというよりは、体を動かしながらルールを確認しあう様子。意図や目的は説明されない。5分から10分で、次々にゲームを変えるので、一つのゲームにお互い共通の理解ができたころには、次のゲームの説明が行われている。
 種類もいろいろで、いわゆるゲーム性、「競う」要素が強いものには、鬼ごっこや縄跳び、犯人あてのゲームなどがあり、身体遊びの要素が多いものには、ウォーク、2人組やグループ単位でバランスをとる遊び、コミュニケーションを重視するものには、ネームゲームや物などをパスするゲームがあるが、いずれも複数の要素をもっている。
 さまざまな種類のゲームを矢継ぎ早に行うので、各々のルールにあった、リズムや気配りなど、全体の動きを読んで、その流れに参加するすばやい対応がのぞまれる。遊びに一所懸命になることで、自分をさらけ出し、動きのクセも表に出す。
 基本的に全てのゲームが、終了する(手つなぎ鬼ならば全員が鬼になる)まで続けられる。日が経つに従い、新しいゲームにもすばやく順応できるようになっていった。

ゲームの例

ネームゲーム
:毎日、最初に行う。円陣を組み、全員が手足で取る一定のリズムに乗りながら、一人が誰かのファースト・ネームを呼ぶ。呼ばれたものは同じリズムに乗りながら次を指名する。

ボール・動作パス
:円陣。リズムよく、左手で受けたボールを右手で隣の人に渡す。ボールの数を増やしたり、ボール以外の、質感や形態の異なるものをパスするなど変化する。ものでなく、動作や呼吸をパスすることもある。一定のリズムは崩さない。

ウォーク
:2人一組になり、主導権のある一人が突然に方向転換するのについて動く。グループ単位で、リーダーに従って動いたり、いろんな表情をつけながら動くバリエーションもある。

鬼ごっこ
:手つなぎ鬼、鬼を複数決めるなど、さまざまなルールを日替わりで行う。

囚人監視
:イス4脚を1辺とした四角形を作り、監視人(16人)は各イスの後ろに立ち、座っている囚人(11人程度)を監視。前のイスが空の監視人は他のイスの囚人をウィンクで誘う。誘われた囚人はその監視人のイスへ移動する。囚人のいる監視人は自分の囚人が逃げないよう背中を叩いて引き留める。

倒れ込み・飛び込み
:6人1組で任意の一人が中心となった円陣をつくる。中心の者は直立の棒になり、足の位置を固定したまま倒れる。倒れた方向の者はそれを受けとめ、また中心に押し戻す。飛び込みは、棒状で飛び込んでくる一人を全員で支える。

そのほか、ネームゲーム・リズム、股くぐり鬼ごっこ、発電所ゲーム、ステップ、ウォーク・視線そらし、ウォーク・方向転換、ウォーク・姿勢と表現、ウォーク・カウント、猫とネズミ、股くぐり鬼ごっこ、数字ゲーム、数字を人文字であらわす、棒遊び、手つなぎ鬼、キャッチ・ブレス、キル、雑貨パス、バランス、むかで、鬼さんこちら、手つなぎ鬼、イス取りゲーム、大なわ飛び、棒遊び、人間の智恵の輪、などがおこなわれた。


表現

 5人から8人が1つのグループになって、講師から与えられる課題を表現する。交代で、他のグループが表現しているのを見学する。
 課題には、例えば、炎、水、朝といった言葉や、台所、釣り堀などのシチュエーションなどがある。
 即興表現と、プランニングの時間をとる場合があったが、いずれも台詞は使わないで、身体で表現することをメインにする。最初はマイムやポーズ、マスゲームなど、視覚に訴える身体表現が主だったが、日が経つに従って、手足を使って出す音、リズム、言葉にならない声、呼気が加わっていった。
 また、4日間を通じて、一つのテキストを使った劇づくりも行った。初日は、講師がテキストを読み、あらすじを踏まえて、受講生は景1から景5までの各景ごとにグループをつくり、2日目からはグループ単位にわかれて、プランニング。テキストは渡されているが、台詞や、細かなシチュエーションはグループ単位で、個々に考える。その間、講師は順番に様子を見、アドバイスを加えていく。
 3日目と4日目の最後に、景1のグループから順番に、発表と見学を行った。単語以上の台詞は使わない。擬音語や呼気、手足のリズムが音声表現の主になる。身体表現では、人と人の位置関係や動き方、視線で、壁や出入口などの空間をあらわしたり、反復運動の緩急で季節の移り変わりをあらわすなど、前半の「ゲーム」の時間に行った身体遊びの応用も随所に見られた。

表現の例

4コマ:6人1組。講師から与えられた題目に従ってストーリーを作り、4つのポーズで表す。「陸上競技」

言葉を表現する:6人1組。講師から与えられた言葉をイメージして、団体で表現する。「朝」「溶岩」「光」など。

「研辰の討たれ」のあらすじ

景1
 場所は城内の侍溜まり。町人あがり(刀研師)の研辰が、侍連中から蔑まれている。

景2
 夜の城外。研辰は侍の一人を、落とし穴を使ってだまし討つ。が、仇討ちを恐れて、そのまま逃亡する。

景3
 研辰の宿に、仇討ちの兄弟のうち兄が泊まりにくる。夜になり、兄は研辰の部屋に切り込むと、研辰は逃げた後で、そこには別れていた弟が泊まっている。お互いの身を確認し、2人で研辰を追う。

景4
 月日は流れ、逃亡と仇討ちの旅が続く。弱っている兄弟は、加勢を得る。寺の中で不意打ちに、研辰と兄弟一行が出合う。研辰は一旦降参しながら、卑怯にも 逃げようとする。

景5
 追いつめられた研辰は、自分は侍ではないので仇討ちには値しないと命請いをする。取りあえず刀を持って立ち合えと迫られると、今度は、これは仇討ちでなく人殺しだと言う。この、ていたらくに呆れた兄弟と加勢は研辰を侮蔑して去る。研辰はまた逃げる。と、兄弟、追いすがって斬り捨てる。斬った方も斬られた方も満足できない。


宛先・お問合せ先

大阪市市民局文化振興課「ワークショップ」係
〒530 大阪市北区中之島1ー3ー20
TEL. 06-208-9167

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Performing Arts Symposium Osaka 96 Page (7)
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